不動産売却によるメリットやデメリット、その他注意点をご紹介します。
目次
- ○ 不動産を売却することに、そもそもデメリットはあるのか?
- ○ 不動産を売却することのメリットは?
- ・維持費を減らせる
- ・責任を回避できる
- ・一戸建て不動産は高値売却しやすい
- ・マイホーム売却では譲渡所得税の軽減・繰り延べなど税金面での特例控除がある
- ○ 不動産を売却することのデメリットは?
- ・所有権を失う
- ・売却の時期が見込みにくい
- ・想定金額より低額での売却になる場合もある
- ・投資用不動産では収益がなくなる
- ○ 不動産売却で失敗するよくある例
- ・状態を改善せず、放置した例
- ・適正価格以上で設定した
- ・不動産会社の選定を失敗
不動産を売却することに、そもそもデメリットはあるのか?
不動産を売却するということは、経緯はさておき、所有していた不動産が二度と手に入らない可能性が高いというデメリットがあります。
ただ、築年数の古い不動産や使用しない(もしくは使用する可能性が低い)不動産をいつまでも所有し続けるよりも、出来るだけ早く売ってしまうほうが確実によいと考えられます。
不動産を所有している方が注意すべきは、将来的に処分も放棄もできない負動産(負債)のようになってしまうことです。
希望通りの金額やタイミングに売れないなどの要件は色々存在しますが、不要な不動産を売ること自体はむしろ率先して行うべき行為といえるかもしれません。
不動産を売却することのメリットは?
戸建、マンション、土地など、不動産の種類を問わず、一般的に売却するメリットとは、物を現金化ができる、融資先へのローン完済や新居への住み替え費用にあてられる、税金対策になりえるといった点があります。
不動産は大半の人が持っている資産の中で、金額的に最大になることが多く、ローン等返済にあてる必要がなければ、売却をすることでかなりの額の現金化をできるのは、最大のメリットかと考えられます。
維持費を減らせる
もし、不動産が希望通り高く売れなかったとしても、所有不動産にそれまでかかっていた維持費・税金の支払いを無くせるというメリットがあります。
毎年かかる固定資産税については、その支払いを無くせます。使用してい不動産であればなおさら維持費等は特になくせることにメリットがあります。
また、固定資産税の他にも都市計画税という税金もかかります。
使用することも、目的もなく維持し続けている不動産に、今後も税金を払い続けるよりも、売却してしまう方がその分だけ貯蓄できるとよりお得です。
責任を回避できる
所有する不動産が、現住宅から遠いと、現況がをこまめにチェックすることはなかなか難しいです。
もしかすると、違法駐車や知らないうちに敷地侵入されており、ゴミなど不要物を勝手に敷地内に廃棄されているかもしれません。
直接的ではないにしろ、ご所有不動産が原因で近隣住民が被害を被っている可能性も考えられます。
万が一、大きなトラブルにご所有不動産が巻き込まれたら、所有者に責任が生じないとは言い切れません。
不要な不動産を売却せず貸し出す所有者もいますが、これもこれで不動産がどう使用されているかは、完全には把握できないので、リスクはどうしてもぬぐい切れない話です。
不動産を売却することは、所有権を譲ることになるので、上記のような所有の責任を回避することができます。
一戸建て不動産は高値売却しやすい
一戸建ての売却は、場所にもよりますが土地付きとなるので、マンションなどに比べて高値取引がされやすいというメリットがあります。
マンションになると、再建築など建物の変更は単独ではできません。駐車場も敷地内を管理組合等と賃貸借契約となります。その点一戸建ての場合は所有者の意向で取り壊しや再建築など自由にできる面が多く、最近の個性を求める住宅事情に適しているかと考えられます。
面積も広くなるので、維持・管理はマンションに比べると大変ですが、その分売却できたときには、金額は高値になることが多いです。
マイホーム売却では譲渡所得税の軽減・繰り延べなど税金面での特例控除がある
ご所有不動産を売却して利益が発生した場合、譲渡所得税の支払いは必要になります。
この税金は高額なため注意が必要です。ただし土地の上に建物があれば、特別控除を利用することができます。
マイホームの売却で譲渡益があった場合、その譲渡益から特別控除として最高3,000万円を差し引くことができる特例があります。
それにより譲渡益が3,000万円以下であれば税金はゼロになります。この控除を受けるための所有期間についての条件はありません。
ただし、配偶者、直系血族、生計を1つにする親族への譲渡する場合には特例は認められず、譲渡する年・前年・前々年にこの特例を受けたことがある場合にも非適用となります。
上記は一つの例で、その他・マイホームの譲渡の軽減税率、買換え特例、買換えた際の損失の繰越控除、譲渡損失の繰越控除、空き家の3,000万円特別控除など期間が決まっているものもありますが、このような特例を受けれるのも大きなメリットと考えられます。税制面での控除は期間や適用要件が各々決まってますので、注意が必要です。
不動産を売却することのデメリットは?
不動産を売却することには、少なからずデメリットもあります。
こうしたデメリットは避けられないものもありますが、その内容をしっかりと理解して、準備・対策をしておくことが大切です。
どんなに準備をしていても、不慮におきることもあります。そのようなデメリットの発生する確率を減らすためにも早めの売却を行い、
所有責任を回避することがデメリットからの脱却における最大の手段と考えられます。
所有権を失う
ご所有不動産を誰かに売却すれば、二度とその不動産は手元に戻ってくることはないと考えられます。
不動産は高額の資産であり、直接的に使用しなくても、賃借での収益や、担保として高額のローンを借りることもできます。
そんな貴重な資産を、簡単に手放してよいか、売却するリスクは本当にないのか、いい意味で慎重に考えるべきます。
今後、その不動産を使用することもなく、引継ぎする方もいないようであれば、上記のようなデメリットは、回避できると思います。
売却の時期が見込みにくい
不動産の売却は、いつ頃実際に売却できるかを予測するのは非常に難しいものです。
不動産売買は、買い手が物件に魅力を感じてくれないと購入まで成立しませんが、価格が安い、土地が広いだけではなく、中には当初のお探し条件とは関係なく「玄関を開けた時の印象で決めた」というような、感じたフィーリングで購入を決定されることもあります。
どの不動産においても魅力の感じ方は人それぞれ違ううえ、お探しされてるタイミングにご希望にあう売却不動産があることを認知されているかにも左右されます。
その中で売却できる時期を予測するのは不可能に近いです。不動産業界でよく言われる「ご縁」があることを願うのみです。
想定金額より低額での売却になる場合もある
購入されたい不動産があり、住み替え目的で家を売却する場合は、売却と購入を同時並行でおこなわなければなりません。
購入先行で、契約している場合は、ご自宅の売却を一定期間内に行わないといけなくなり、期間内に売れる見込みがたたない場合は、ご希望金額帯より低額で売却をしないといけない状況になることもあります。
逆に売却先行とした場合は、期間の定めがありませんので、ご希望金額帯で市場の反応を見ながら買い手を探すことができますが、買い手が見つかるまでの間に本来購入したかった住み替え先不動産が他の方に売れてしまう可能性もあり、本来売却した意図と違う結果になることもあります。
投資用不動産では収益がなくなる
ご所有不動産を貸し出していたことで、収入が発生していたのであれば、その収入がなくなるため、生活の見直しが必要となります。
たとえ収入が少額であっても、こうした給与以外の収入が生活の一部を支えていたということもあるので、「資産を手放す」と考え、慎重におこなうべきでしょう。
不動産売却で失敗するよくある例
ここまで不動産売却のメリット・デメリットを解説しました。
売却という方法が目的とあったから、売却が成功するのかはまた別です。
売主が売却を成功させようとしても、様々な要因が影響してうまくいかず、最終的には失敗となってしまうケースは多々あります。
不動産売却が失敗するケースの中で、多く目にする例を紹介しておきます。
状態を改善せず、放置した例
立地条件が悪く、築年数も相当経過し、室内状況が綺麗にされておらず、汚れや傷だらけの不動産はなかなか売却することは難しいです。
こうした条件の不動産を売る際は、美装工事や、もしくは建物を解体し更地化をしたり、少しでも状態を改善する必要があります。
改善のために、時には高額な初期投資を支払うこともあります。
ただ、状況にもよちますが、改善を行うことにより、当初より売却価格がアップし、かかったコストを回収することも可能です。
何もせず状態改善を怠っていると、いつまでも売れ残る可能性が高いです。
適正価格以上で設定した
不要な不動産を、本来の価値や近隣相場より高く売りたいという人もいます。
本来は1,500万円の価値の不動産を、3,000万円で売ってご成約できれば、当然倍の利益を得られます。
ただ、適正価格以上でご成約をするのは困難を極めます。
通常、不動産の買主は売主よりも近隣相場を熱心に調べたり、お家購入の知識を持っている方が多いです。
それは買主が購入を失敗した時のリスクが高いので、積極的に知識を得ようとする人が多いのです。
特に昨今は、ネット社会ですので、プロの情報を一般の方でも簡単に入手できる状況です。
そのため、よほどの条件が整わない限り、適正価格以上で売り出しても、買い手がつかずに売れ残るのが現状です。
売れ残りを解消する方法は、値下げするしかなく、長期間かかったがため適正時期を逃し、結果的に適正価格以下に収まってしまうこともあります。
損をしないためには、出来るだけ適正な期間内で、適正価格で売り切ってしまうことをおすすめします。
売却期間を長くかけたからと言って、高く売れるものではありません。適正時期を決して逃さないことです。
よくある「相場以上で売れますよ!」と、査定価格をあえて高く吊り上げて提示してくる業者は、売却の依頼がほしいだけで、結果長期間かかり上記のとおり結果適正価格以下での売却になるので、ご注意ください。
不動産会社の選定を失敗
「不動産を売ろう」といっても、実際に営業活動や購入者探しをするのは、依頼した不動産会社になります。
どの不動産会社に依頼するかによって売却結果は決まってしまいます。
良く、ご両親の代から利用している不動産会社に査定を依頼し、そのまま依頼してしまう方もいますが、違う業者と契約していれば数百万円も利益がプラスになった可能性も考えられます。できる限りは1社だけではなく、数社査定を依頼して、担当する営業とのお話合いの中で、売主が一番安心して任せられると感じた営業に依頼することが大切です。失敗例の多くは、単に会社の規模や査定価格だけで依頼を決めてしまうことです。大切な不動産ですのでくれぐれもご注意くださいませ。